熱海の海岸沿いにある、鋭い目つきで女性を足蹴にする男性。その横で、うつむきながらも毅然と立つ和服姿の女性。なんとなく有名なのは知っていましたが、実はあまりよく分かっていなかった「貫一お宮之像」に行ってきたので、調べてみました!
像の背景にある名作小説『金色夜叉(こんじきやしゃ)』の物語、像の成り立ち、見どころなどを紹介します。
貫一お宮之像の基本情報
- 名称:貫一お宮之像
- 住所:静岡県熱海市東海岸町15-45
- URL:https://www.ataminews.gr.jp/spot/113
- 営業時間:散策自由
- 入場料:無料(観覧自由、年中無休、入場無料)
- タイプ:都市観光
電車
JR熱海駅から徒歩約15分
バス
JR熱海駅前バス停→「熱海港方面」行きバス5分→「お宮の松」バス停で下車すぐ
車
小田原西IC → 国道135号線経由で30分程度
熱海駅から車で3分
来宮駅から車で5分
駐車場
隣接した市営東駐車場あり(有料)
サンビーチ沿いの遊歩道すぐの所にあります!また像のすぐ隣には金色夜叉にちなんだ歌碑もあり、尾崎紅葉の文学的世界に思いを馳せるのも一興です。
貫一お宮之像とは?

貫一お宮之像は、明治時代に活躍した文豪・尾崎紅葉(おざきこうよう)によって書かれた「金色夜叉」という未完の小説のワンシーンを再現したもので、1985年(昭和60年)に建てられたそうです。
その横にある金色夜叉の碑は、さらに古く、1919年(大正8年)に建碑されたそうです。地元の観光協会と市が共同で設置し、以来、長年にわたって熱海の観光名所として愛されてきました。
貫一お宮の物語「金色夜叉」とは?
金色夜叉は、1897年から読売新聞に連載され、舞台や映画にもなり、尾崎紅葉の代表作になったそうです。
物語は、恋人同士だった間貫一(はざま かんいち)と鴫沢宮(しぎさわ おみや)の悲恋を描いたもの。物語の舞台は明治時代。貫一は向学心のあるまじめな青年で、商人の支援を受けて勉学に励んでいました。
一方で、お宮は、富豪のもとへ嫁ぐ道を選んでしまいます。婚約者のお宮が金持ちに心を奪われたことを知り、激しく怒ります。そして、別れを告げるために訪れたのが熱海の海岸。
失意と怒りに震える貫一は、お宮を熱海の海岸で問い詰め、足蹴にし、怒りと哀しみの入り混じる別れを迎えるのです。そして絶望した寛一は、金銭の鬼となっていく…という物語です。
この貫一がお宮を足蹴にしたシーンを再現したのが「貫一お宮之像」です。

こんなに簡単にまとめてしまうと感情移入しづらいですね。今度、小説か映画を見てみます!
金色夜叉のその後と未完の物語
金色夜叉は、残念ながら、尾崎紅葉が執筆途中に亡くなったため、未完の作品となりました。その後、弟子である小栗風葉が続編を執筆しましたが、読者の中には「紅葉の筆で完結してほしかった」という声も多いのが現実だそうです。
それでも、物語の中で描かれた貫一の苦悩と成長、お宮の後悔と葛藤は、今なお多くの人の心を動かし続けています。
貫一お宮之像に行ったときの情報
- 時期:2024年2月下旬頃(平日)
- 天気:晴/気温5~13.9℃
- 移動手段:車
- 滞在時間:5~10分
この時の旅行プランは下記をご参考ください。
貫一お宮之像のおすすめポイント
彫像の表情とポーズに注目

像は、まさに貫一がお宮を足蹴にする場面を再現しています。
芸術的な観点からも評価が高く、「これは文学を彫刻で表現した成功例だ」と語る人もいるそうです!
貫一は激しい怒りと失望の感情を込めてお宮をにらみつけ、お宮はその蹴られた瞬間の衝撃と悲しみが表情に刻まれています。二人の像の間に流れる緊張感とドラマ性が非常にリアルで、つい見入ってしまうほど。
潮風を感じながら空とのコントラストと様々な姿
像の背後には、青く広がる熱海湾が広がっています。朝日が昇る時間帯や夕暮れ時には、空に像のシルエットが絶妙に重なり、潮風を感じながら、まるで一枚の絵画のような光景が広がります。
また、夜にはライトアップされたり、熱海海上花火大会の時に訪れると幻想的な雰囲気の中で像を眺めることができるそうです。
時間帯を工夫して訪れることで、よりドラマチックな記念写真を撮ることができるみたいですね!
「恋の街」熱海にふさわしいモニュメント「貫一お宮の像」には、文学と芸術、そして熱海の街そのものの歴史が詰まっています。その背景にあるストーリーを知ることで、旅の深みが何倍にも増しますね!
今回は、何となく有名だからとふら~っと立ち寄っただけでしたが、今度行く時は、小説か映画で話をしっかり見てから行ってみたいと思います!