伊豆・伊東温泉の街を歩いていると、ふと目に留まる風情ある木造建築が今回ご紹介する「東海館(とうかいかん)」です。
まるで昭和初期にタイムスリップしたかのような空間。旧温泉旅館の名残が随所に感じられ、手の込んだ建築美や、建物のすばらしさだけでなく歴史も学べるスポットでした!
東海館の基本情報
- 名称:東海館(とうかいかん)
- 住所:静岡県伊東市東松原町12-10
- URL:https://itospa.com/spot/detail_52002.html
- 営業時間:9時~21時(最終受付20時)
- 入場料:大人200円、小人100円
- タイプ:文化施設
電車
JR伊東駅から徒歩約10分
車・タクシー
JR伊東駅から約3分
駐車場
なし(近隣にコインパーキングあり)
東海館の歴史と建築様式
東海館は、1928年(昭和3年)に創業した老舗温泉旅館だったそうです。昭和初期から戦後にかけて、多くの観光客や文人に親しまれた名旅館で、増築もされています。
1997年に廃業し、建物は伊東市に寄贈され、1999年には市の文化財に指定されました。その後、保存修復工事などが行われ、2001年からは観光施設となったそうです。現在は伊東市が文化施設として一般公開しています。
外観の美しい格子や、館内の欄間細工、畳敷きの廊下や障子の光が印象的で、日本建築のすばらしさを感じることができます。使用されている木材や建具は、職人の手仕事によるものだそうで、経年によって深みを増した色合いが素敵ですね!
東海館とはどんな場所?
現在の東海館は、歴史的建造物として保存されています。
館内には当時の客室や広間、望楼(展望塔)などが残され、歴史や伊東ゆかりの人やものを紹介を行う展示ブースなどもあり、自由に見学可能でした。
また、ボランティアガイドさんの案内もあり、建物の細部や背景を丁寧に教えてくれるので、初めて訪れる人でも、たくさんのことが学べます。
東海館に行ったときの情報
- 時期:2025年5月上旬頃(土日祝)
- 天気:曇りのち雨/気温:15~23℃
- 移動手段:徒歩
- 滞在時間:1時間(ボランティアガイドさんに案内してもらいました)
東急ハーヴェストクラブ伊東に宿泊して、松川遊歩道散策をして向かいました。
この時の旅行プランはこちら
記事を書いたらリンクを貼ります。
川沿いのレトロな街並みに心が和みつつ、木造3階建ての立派な外観に引き寄せられるように中へ。見学所要時間は約1時間。ボランティアガイドさんの案内付きで、歴史や建築の背景を聞きながら館内をゆっくり回ることができました。
東海館の見学おすすめポイント
予約は必要?混雑状況と注意点
予約は不要で、ふらっと立ち寄っても入館できます。私が訪れた時は、館内は混雑というほどではなく、ゆっくり見て回れました。
しばらくふらふらしていると、「ボランティアガイドがいますよ」と声をかけてもらい、案内に混ぜてもらいました。 細かな建築の違いや、当時の使われ方などを丁寧に説明してくださり、理解度と感動がぐんと上がりました!
東海館の外観と入口から感じるレトロな空気
松川沿いを歩いていると、目に入る伝統的な和風の外観の建築物が東海館です!



東海館の川を挟んだ向かい側には舞台が設置されていました。この水上能舞台では、薪能(能楽師・狂言師による能舞)、奉納舞台、和太鼓・郷土芸能などが開催されるそうです。



東海館に近づいてみると、寺社を思わせるような細部までこだわっている造りで、玄関口は、昔を思わせる格子戸と木枠のガラス窓で、タイムスリップするワクワク感がありました。玄関をくぐると、昔の温泉旅館の「帳場(ちょうば)」がそのまま受付になっていました!
当時の姿そのままの館内を散策
館内を歩いていると、当時のまま大切に保管され、活用されているのが伝わりました。
入口付近の展示




部屋ごとに異なる装飾
部屋ごとに宿泊料金が違い、料金によって造りが違うことなども教えてもらいました。いいお部屋になればなるほど、繊細で豪華な装飾になっています。






ちなみに各部屋にある家具などは、旅館が廃業した際は、何もなかった状態だったそうですが、市が引き取った後に、地域の方から寄贈を呼びかけ当時の時代の家具を集めたそうです。
広間と芸者さん
東海館の広間では、昔、芸者さんたちが芸を披露していたそうです。広間には、当時の芸妓さんたちを模したマネキンもありました。



また、春・秋の期間限定で、芸者の着付けとお化粧をして作法を学ぶ「伊東お座敷文化大学」という体験プランも行っているそうです!面白そう!
様々な装飾や展示




資料館のように様々なものも展示されていて、東海館の当時の資料や、耐震補強工事の裏側や、どんどろ人形の展示、広間と芸者さんなど盛りだくさんでした!
東海館や伊東ゆかりの偉人たち
伊東や東海館にまつわる偉人の皆様の紹介もされていました。
伊豆国の豪族・伊東祐親
伊東祐親(いとうすけちか)についても色々紹介されていました!




祐親は、伊豆国の有力武士で、源頼朝と八重姫の悲恋に登場する人物としても有名で、東海館から近い「音無神社」や「祐親公園」などにも祐親にまつわる史跡が点在しており、伊東の歴史を知る上で欠かせない存在です。
航海士・ウィリアム アダムス
歴史の教科書でもおなじみの英国人、ウィリアム・アダムス(三浦按針)。彼が江戸時代初期に日本に渡ってきた際、伊東の地で造船に携わったとされており、その功績を称える記念碑も市内に残されています。
写真はないですが、当時をイメージした造船の模型が置いてありました!
名提・東郷平八郎
明治時代の日本海軍の指揮官の東郷平八郎も伊東を訪れていたとの記録があり、彼が愛した静養地として知られているそうです。

当時の写真などもあり、「ここに腰かけて、この景色を見ていたのかも?」と感慨深い気持ちになりますね。
彫刻家・重岡建治氏
伊東市出身の彫刻家重岡建治氏の展示スペースもありました!松川遊歩道散策の記事でもふれましたが、木下杢太郎記念館前や松川沿いに点在するユニークなブロンズ像を数多く手がけていらっしゃいました。
展示スペースでは、オリンピックのトロフィーと同じ作品が展示されていて、持たせてもらえます。




ガイドさんが、彼の作品はただの展示ではなく、触れてもらうことで作品に込めた願いが伝わるように造られているものが多いと教えてくれました!
伊東を舞台にした作品を残した文化人たち
他にも、川端康成や与謝野晶子などの、文化人たちの言葉や作品も数多く紹介されていました。伊東の風情ある景色にインスピレーションを得たそうです。
あまり詳しくない私でも知っている方々の名前も多くあり、文学散歩としての魅力も味わえる場所ですね!
昭和の趣き漂う中庭と展望塔の景観
建物の奥には、吹き抜けの中庭がありました。ガイドさんに聞いてちょっとうろ覚えなのですが、中に生えている木の皮が切れにくいだかなんだかで、縁結びのお守りになると教えてくれました。(本当にうろ覚え…。)


そして、階段を上った最上階には望楼があります!ガラス窓越しに松川や市街地を見下ろすことができます。当時はここより高い建物がなかったので、かなり見晴らしが良かったらしいです。
見学以外も楽しめる東海館の施設
東海館のカフェ
私は次の所への移動予定があったので行けませんでしたが、1階奥にカフェがあるそうです。東海館の受付で、喫茶利用と伝えると、入館料はかからないそうです。
喫茶室は大広間にあり、東海館の和室の雰囲気にピッタリなレトロなスイーツがそろえてあるそうです!あんみつやクリームソーダ、練り切りと抹茶など、散策でつかれた身体を休める一息できる場所としてもよさそうですね!
東海館のお風呂
土・日・祝日は東海館の温泉にも日帰り入浴できるそうです!大浴場と小浴場があり、時間帯で男女入れ替え制で、タイル張りの昔ながらのお風呂が味わえるみたいです。
ケイズハウス伊東温泉
見学していた東海館の建物の一部は、ホステル(低価格で宿泊できる簡易宿泊施設)として再活用されているそうです。共用スペースを利用して宿泊し、相部屋形式のドミトリーや個室などのプランがあるそうです。
和の趣をそのままに、お手頃価格で泊まれる宿として外国人旅行者にも人気みたいです!
東海館は、歴史的な建築物を保護し、建物の歴史やすばらしさを伝えるだけでなく、伊豆や伊東の郷土資料館のような役割も持っている場所でした!

さくっと見学して帰ろうと思っていたら、たくさん学びがありました。